ゴヤ~犬、我が子を喰らうサトゥルヌス

その目で地獄の様なスペインの対仏戦争を目撃し、人間の暗部の生き証人となったゴヤ。
聴覚を失い自己と対話することが多かった彼は、その晩年、誰に注文を受けたわけでもなく、非公開を前提として自分の為だけに14枚の連作『黒い絵』を完成させた。
我が子によって滅ぼされると予言を受けたサトゥルヌスが、産まれてくる子を次々と殺していくギリシャ神話を描いたものです。
底なしの流砂に呑まれていく一匹の犬が、わずかに地表へ頭部を突き出している絵。
どちらもショッキングな作品だが、サトゥルヌスの目には狂気と哀しみが錯綜しているし、犬の方は吠えることも止めて虚空を見つめており真の絶望が胸に迫ってくるような気がする。
単なる残酷な絵ではないことは確かではある。

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